冷え性と冷え症の違いは?

私、冷えしょうで…とはよく聞かれる言葉です。
しかし冷えしょうには2種類の漢字が使われます。

西洋医学上では、検査で明らかな異常が見られないにもかかわらず、よく手足や腰、腹部など特定の部位が冷え、ゾクゾクと寒さを感じる状態を病気とまで認識していないため、冷え性という体質として捉えています。

それに対して、東洋医学的な考えとして冷えには治療が必要な場合があり、冷え症として認識しています。
東洋医学的には冷えは万病の元といい、冷え症も冷え性も冷えでつらく感じることがあれば、解決すべき問題だと捉えています。
冷え症(冷え性)と診断される場合でも、手足のみが冷える場合、上半身はのぼせて下半身だけ冷える場合、お腹だけ冷える場合、全身が冷える場合など、症状が現れる部位は様々。

それぞれ冷え症(冷え性)の原因が異なりますので、治療方法も異なることがあります。
東洋医学にも精通した医師や漢方医と相談しながら治療を行うことが必要です。

ここでは、冷え症(冷え性)はなぜ起こるのか、どのような生活をすれば良いかをご紹介します。

冷え症(冷え性)はなぜ起こる?

女性は約8割、男性でも4割以上の人が、冷え症(冷え性)の自覚があるそうです。
男女とも共通な原因もありますが、生理上の構造で女性が男性に比べて冷え症(冷え性)の割合が2倍ほど多いです。
女性が男性に比べて冷え症(冷え性)が多い理由は、大きく分けて4つあります。

1.筋肉量が少ない

筋肉は、人体最大の熱産生器官です。
さらに、筋肉が伸縮することでポンプのように血液を送り出すので、体のすみずみまで血液を循環させて体を温めます。

女性はもともと男性に比べて筋肉量が少ないため、作り出される熱量が少ない上に、ポンプの力が弱いため、体が冷えやすいということになります。
体の末端まで血液が行きにくいため、特に、手足が冷えやすくなるのです。

2.ホルモンバランスの乱れ

女性は、男性にはない月経、出産、閉経といったライフステージでの変化があり、ホルモンのバランスが乱れやすい傾向にあります。
ホルモンバランスが乱れると、体温調整をしている自律神経が影響を受けて、血液の循環が悪くなり冷え症(冷え性)になりやすいのです。

人によって感じ方はさまざまですが、生理中は体が冷えやすい。
冷えにより生理痛がひどくなる。という方もいます。
また、女性ホルモンの量がぐんと減る更年期には、冷えがひどくなるという方が多くなります。

3.ストレスの影響

社会で生活していく上で、ストレスはゼロにできません。
仕事や家事などに追われてイライラするかもしれませんし、夏や冬には、室内と外気温の差が極端に激しくて、それも体のストレスになります。

ストレスを感じると、誰でも自律神経のバランスを崩しやすくなります。
自律神経は、リラックス状態で優位になる副交感神経と、緊張状態で優位となる交感神経の2つがバランスを保って、体の機能を調節しています。

しかし、ストレス過多の状態が続くと交感神経優位の状態が長くなり、体は緊張しっぱなし。
末梢血管も収縮を続けて血行不良を招き、冷えた状態を招きます。

4.生活習慣の乱れ

現代女性の体温は、昼夜逆転の生活や朝食抜き、食事の時間がバラバラなど、生活習慣の乱れによって低下しているといわれます。
もともと体温は、早朝が最低で、起床して朝食をとるとともに急激に上がり、昼過ぎから夕方までゆるやかに上昇した後、夜間に向かって下がっていくものです。
しかし、乱れた生活習慣は自律神経のバランスを乱し、体温調節機能が乱れて冷え症(冷え性)を招きます。

また、昨今では夏場はエアコンのきいた室内で冷たいものを食べ、冬場は温かい室内でゴロゴロと、体の体温調節機能を使わない生活が主流。
そのため、もともと備わっていた体温調節機能が低下している人が増えているのです。
また、ファッション性が優先され、寒い日でも薄着をし、手首・足首・首といった冷えやすいポイントをカバーしていないのも冷え症(冷え性)を悪化させる原因に。

続きます。
2025/3/16